フィッシングコラム

折れるロッドはいいロッド? ロッドにまつわる怪しい話

釣具屋さんでロッドを天井に押し当ててテーパーをみる人、よく見かけませんか? ああやって誰もが玄人を装っているわけですが、あれでわかるのは竿の硬さと感度くらいのもので、テーパーはわかりません。ロッドが痛むだけですのでどうしてもやりたい場合は購入後に行ってください

あなたがどうしてもロッドのテーパーを知りたいなら、水平より5度ほどロッドを立て、ラインを鉛直方向に負荷をかけて調べるのが基本です。ペットボトルに水を入れてぶら下げたり、おもりにラインを結んで具合を確かめるわけです。同じ重さのものをぶら下げ、同じくらいの負荷をかけてはじめて、正しいテーパーがわかるのです。

こんな基本的なことがわかっていないのに、どのロッドがどう、あのロッドはこう……といいあっているのが悲しいかな日本のルアーゲームの現状なのです。

折れるロッドがいい竿?

ルアーゲームに限らず、釣り初心者は「この竿は折れにくいですか」「どれくらい負荷をかければ折れますか」という質問をする傾向にあります。この質問を受けるたびに大変微笑ましく思うのですが、世間的にはちょっと異なるようです。何が異なるのかといえば、素人丸出しだと笑うわけです。「折れるときには折れる」ですとか、「折れない竿はダメだ」なんてアドバイスをする輩がいるんです。

確かにどんな竿でも折れるときには折れます。無茶をすれば当然ですが、成形段階でのミスというのもあるでしょう。アメリカの竿なんて、ガイドがついてる向きがバラバラってのが割とありますからね。事故で折れるのは仕方ないところです。しかし、「折れない竿はダメ」とはどういうことなのか。

彼ら(バスプロとやら)にいわせれば、折れる竿というのは「それだけ繊細につくられているからスゴイ!」のだそうです。でも、我々はガラス工芸品を買っているわけではありません。実用品を求めているはずなのに、芸術性を追求して一体何になるのでしょうか。確かに日本古来のゲームフィッシュ、野ゴイやヘラブナ、タナゴ釣りの道具はアワビ張りなど芸術性を求めているものもありますが、それは遊び心であって、釣具としての性能を下げたり、実用性を著しく下げるものではありません。むしろ、遊びのせいで実用性を失ってしまっては、道楽者の中では「笑い者」です。

また、折れる竿がいい竿だと考える背景には、折れることが、すなわち感度のよさである。と考える人がいることによるものと考えられます。これは太鼓持ちのプロが煽っている部分が多分にあります。彼らはバスボートに何十本と竿を積み、折れればメーカーからいただけるわけですから、感度のために強度が犠牲になっても関係ありません。また、トーナメンターは結果がすべてですから、ロッドは食い扶持を稼ぎ出すための消耗品だと割り切ってもいいのかもしれません。しかし、我々は違います。どんなにいい魚を釣っても、儲けはありません。釣具を買えばお金は出て行くばかりです。それでも構わないというのであれば、どうぞよく折れる、感度のいい竿とやらをお使いいただければと存じます。

メーカーの技術力のなさにダマされてはいないか

感度と強度は両立できないのか。今のカーボンを使う以上、物理的、素材的には困難です。しかし、可能な限り両立を目指すことはできます。例えば、金属製のリールシートを採用する。当然感度は上がります。金属でなくとも、ブランクスの感度をそのまま伝える、増幅して伝えるようなリールシートを設計、採用するという方法もあるでしょう。最近では、根元と竿先をまったく違うカーボンにする製法も存在し、両立しえなかった問題を技術で解消しようという試みが進んでいます。

しかし、こういった技術力のないメーカーは、口八丁手八丁で竿を売ることを考えるのです。その昔、ナイロンラインの耐摩耗性が革新的に進化したことがありました。その耐摩耗製は従来製品の10倍程度というにわかに信じ難い数字。この製品が世に出た瞬間から、フィッシングショーにきている他のラインメーカーが、ブースで耐摩耗性の実験を一切しなくなった、という逸話があります。自分の都合の悪いことはいわないわけです。

ハイエンドロッドの宣伝を見ていると、グリップエンドにバランサーを埋め込んでいる製品があります。さもすばらしい技術であるかのようにオモリのことを美辞麗句で飾り、高級感を煽っている。あれは、単にロッドのバランスが悪いのでつじつまをあわせただけですよ。バランサーなしで成立している方がずっとすばらしい。しかし、何やら特殊技術のように見えて、その竿を買ってしまうわけですね。バランサーがファイト時に気持ち悪く感じたり、キャスト後の反動がストレスになったりすることもあるのに。

こういった安易な逃げをする背景には、釣り竿が特許の塊であることが挙げられます。ガイドにリールシート。どれも自社で開発すれば、特許使用料がかかります。開発費に特許の使用料。これが重くのしかかり、高価なカーボンや高品質なコルクの材料費もバカにはなりません。しかし、それは我々消費者には何の関係もないことです。本来はそれだけの価値がない竿を、原価が高いという理由で宣伝を上手く利用し、高く売りつけていいはずがない。

感度がいい竿は折れる、本当にわかっている人間は折れる竿を使うなどという迷信は、早く消滅することを願うばかりです。冷静に考えて、プロ仕様だから折れるなんておかしいじゃないですか。プロ仕様だから、この包丁はすぐに切れなくなる、プロ仕様だからこのカナヅチは3日で壊れる。プロ仕様だからこのリールはすぐに巻けなくなる……といえば「そんなのダメだろ」と皆さんも思うはずです。この時点で既に矛盾が生じているじゃないですか。その道のプロ、職人が使う道具だからこそ、簡単に壊れるなんてあってはならない。プロ仕様だからこそ過酷な状況に耐え、安定した結果を残す。我々が手にするものは、そういう道具であって欲しいと願います。

 

ミドルクラスからハイエンドにあたるスコーピオンXTシリーズの中で、この1652R-2は、バス釣りに慣れてきたので、とりあえず1本いいものを買いたいという方にオススメです。これ!という特化した竿ではないため、専用のモデルと比較すると不満点もありますが、陸っぱりなどで1本だけ竿を持っていく、そう何本も竿を買うつもりはないという方には十分な戦力です。私はこれより柔らかいとされる15101F−2で80cmクラスのライギョをあげていますので、ロッドパワーは申し分ありません。ランカーバス相手でもオープンウォーターなら十分渡り合えるでしょう。

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