SAVE FIELDs

スポーニングシーズンを避ける理由

私はスポーニング中のバスめがけて投げるのがバスゲームだとは思いません。そこにはバスゲームと呼べる思考や戦略がないためです。目で見て、ルアーを送る作業は、いわば縁日にあるヨーヨー釣りと同じ。むしろバスの方から掛かりにくるぶん、ヨーヨー釣りの方が難しいくらいです。

 

何度となく書いておりますが、ベッドを離れたり、放棄するバスが増えれば増えるほどバスの絶対量は減る可能性が高まります。通常時、ルアーに騙されるバスは警戒心の乏しい、リスク管理のできない「マヌケ」な個体ということで、自然の摂理からすると、釣られてダメージを受けることもやむなしといえるかもしれませんが、スポーニングシーズンは話が違います。

 

ベッドを作ることができるオスは基本的優秀なのです。例えば、大型な個体で、寒さに強く、2月末ごろにいち早く起きだしてベッドを作る場所を吟味する。それだけの体力や賢さを持っている場合が多い。また、一等地は当然取り合いになりますから、他のオスに横取りされないように守るだけの力も必要。そしてなにより、ベッドで卵を守るということは、メスに選んでもらえたということですから、魅力的な個体でなくてはならない。

 

エリートと認められた個体がベッドを作り、卵を守るのです。そして、家族愛といいますか、卵を真剣に守ろうとする個体ほど、ベッドへの侵入者を許さない。枯葉が沈んでくればくわえて捨てに行き、酸素が少ないと思えば尾びれで水を送ってやる。そういったかいがいしさを逆手にとって、同じバスを(何度も)釣るのがスポーニングシーズンのサイトフィッシングなわけです。

 

これはつまり、優秀な個体を優先して駆逐しようという試みにほかならないのではないか。大型化する個体、環境の変化や危機管理能力に長けた個体から駆除するとどうなるか。その水域のバスが小型化したり、無能の集まりになる。結果、個体数の激減に繋がるのでは、と。

 

優秀な魚が増えれば、ルアーに騙される個体も減るでしょうが、長雨や熱波、寒波でその水域の魚が全滅するようなことにはなりにくい。こと日本は環境の変化の大きい国かつ、水域が小さい傾向にありますから、優秀な個体を優先して残さなければ、ある日突然、魚がいなくなるということもありうるわけです。

 

また、特定外来種である以上、多くの水域ではいなくなってくれるとありがたい魚ではあるのでしょうが、外来種を含めて水域のバランスが取れていたのを、人間がさらに手を加えたことでバランスが崩壊する場合もあるわけです。バスが減った結果、大陸系の鯉だらけになった水域があなたの近くにもあるのではないでしょうか。魚食魚がいなくなると、その空白を埋めるようにエッグイーター(卵を食べる魚種)や雑食(草食)系の大型魚が進出し、水系を破壊し尽くすことがあるのです。特に鯉類は顕著で、卵を食べ、個体が減ると水草を食べる。結果、水草を主食とする魚や産卵場所とする魚は生存できなくなってしまう(これらの魚が残された水草を求めて狭い範囲に集まると、より鯉類にとって良質な餌場となり急速に減少しうる)。

 

増えすぎは問題ですが、適正な管理が資源維持には重要なことは明らかです。安易なスポーニングゲームは厳に戒めるべきだと私は考えます。

 

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