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人は誰しもグレーゾーン

環境保護の本やサイトを読んでいると、いつも気になっていることがあります。なにが気になるのかというと、そこに出てくる人たちは「自分たちはいい人」だと信じているんじゃないかということです。でも、少し待ってください。人間というものは、生きている以上、なにかを食べなければなりません。たとえ化学的に合成されたものを食べたり、点滴などで生きるにしたって、なんらかの環境への負荷をかけているはずです。呼吸するだけで多くの細菌を取り込み、免疫の力でやっつけてしまったり、一歩踏み出すごとに足の裏と同じ面積分のダニ類を数百から数千、踏み潰しています。こうした目に見えない生き物は、山や森に限らず、アスファルトの上にだっているので、人は誰もが生きているだけで環境に迷惑をかけています。にも関わらず環境保護を掲げる人のなかには自分はいいことをしていて罪はなく、環境を荒らす人、外来生物は根絶やしにしなければいけないと信じている人がいるのです。

 

すでに申し上げましたように、人は誰もが環境に迷惑をかけています。絶対の正義などというものはありません。一方で、絶対の悪もないのです。びっくりしたかもしれませんね。自然を大切にしたいと願う方にとって、環境を破壊する人間が絶対の悪ではないということは受け入れがたいかもしれません。森を焼いたり、絶滅危惧種を乱獲するような行為は確かに程度としては悪です。しかし、この人間すらも「自然」の一部であることを忘れてはいけないと思うのです。人間と自然という線引きをしてしまうことが、すべての間違いのはじまりです。人と自然をわけ、次に自然にいい人と悪い人をわける。こうして人間が勝手に自然から離れていって、原理主義的になって、本来の目的である環境を保護するという願いを見失ってしまう。環境を保護するという大きくて遠い目標より、気に入らないヤツや、自分より劣っているヤツをやっつける方がわかりやすくって、楽しくって、エンターテイメントになるんです。

 

本当にこのままでいいのでしょうか。自然はそんなにわかりやすくありません。動物の進化が予測不能で、その成否を判断してくれる存在がないように、我々人間程度では、なにも見通せないのが自然の世界なのです。いまの常識も将来の非常識になるかもしれません。生物多様性を人間が守るという常識は本当に正しいのか。一体誰が答えを教えてくれるのでしょう。一度タマゴを産む力を失ったトカゲが、再度子どもを産むのをやめてタマゴを産むようになったという報告もあります。進化は一方通行で、逆戻りは「絶対にない」のではなかったのでしょうか。これほど科学が発達しても、なにもわからないのに、すべてを理解したように、これは正義である、それは悪であるなどと語る人がいたとしたら、おそらく危険な兆候です。

 

人と自然との間に線引きがなされていないように、人は誰もが環境に負荷をかける罪人です。善人も悪人もなく、いい動物も悪い植物もなく、そこにあるのは、ひたすらに広いグレーゾーンだけです。とても曖昧です。曖昧ですので、この本は読んでいて全然楽しくないでしょう。スカッとするものではありませんからね。でも、読むのに苦労する分、きっと大切な視点を提供できると信じています。

 

スカッとする環境保護の話があったら、少し離れて冷静な目で見てください。環境保護の世界に、勧善懲悪はありません。スカッとすることなんてないのです。自然界は人間が考えるほど牧歌的で美しくはありません。すべての動植物が「自分さえよければ」を原則として、日々争っていることを忘れてはいけません。相手より多く日光を浴びたい、ライバルを蹴落としたい。そこへ人間が介入することは正しいのかどうか。私にはわかりません。わかりませんが、みなさんが私と一緒に悩み、この本を読み終えたとき、いままでとは違う自分なりの答えを見つけてもらえれば幸いに存じます。

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