SAVE Fields – 守ろう、夢のフィールド –
「フィールドにゴミを捨てるな」は無駄な努力でしかない
「ゴミを捨てるな!」という人は多い。私もことあるごとにフィールドにゴミを捨てるなといってきた人間のひとりですが、こんなことをいって(書いて)も、まったく意味がないと感じています。
なぜ意味がないのか。どうして無駄な努力なのか。それは「ゴミを捨てないでね」「太いライン(釣り糸、テグスのこと)を使おう」という話を聞いてくれる人に話しても、その人たちは「そもそもゴミを捨てない人」だからにほかなりません。
当ブログは1日千回ほど読まれますが、その多くはリピーターです。こんな私の戯言をリピートしていただける殊勝な方が、パッケージやワーム、弁当殻を捨てるとは思えませんし、切れてもいいやと細いラインを使うとも思えません。実のところ、私が25〜30lbもある蛍光チャートのラインを使うのは、私がラインを捨てていないことを証明する意味もあります。こんな目立つものが長々と放置されていれば、身内ならすぐさま看破できます。私は捨てないという信念、矜持のためのラインなのです。
さて、話を戻しましょう。ご存知のとおり、ゴミを捨てるなといっても効果のない人には2種類います。一方は、皆さまのようにそもそも捨てない方。他方は悲しいかな、いっても聞かない人たちです。私は釣りをはじめたばかりの人を啓蒙する目的で「ゴミを捨てるな」ということはありますが、釣り場で捨てている人に注意することは稀です。
といいますのも、ゴミを捨てるような連中は平たくいえば「犯罪者」です。となると、何をされるかわからないわけです。毅然と注意したばかりにフロントガラスに投石された、竿を折られた……といった話を聞きます。楽しいはずの釣りが一転、 苦痛でしかなくなってしまうわけです。ですので、私はみなさんに釣り場でマナーのなっていない釣り人を叱りなさい、などとはいいません。あまりにリスクが高すぎます。それよりも、もっとほかの形でフィールドを守るほうがよい、と考えているところです。
釣りと釣り人を自然界、社会のゴミにしないために
私の出身地は四国の田舎で、皆さんもよくご存知の日本屈指のバスリバーがあります。メジャーなポイントとなれば、昼夜を問わず周辺地域から車が押し寄せ、一晩中音楽をかけたり、騒いだり。周辺住民に大変な迷惑をかけているわけです。私も何度もそういう場面を目にしましたし、雑誌などの評判どおりに釣れないからと、ビールの缶や食べ物のゴミを撒き散らしていった連中もいました。違法駐車や迷惑防止条例違反だけでなく、不法投棄に飲酒運転、もはやなんでもアリです。住民に注意されると、その人の家まで追いかけてきたなんて話もありますから、どんなにゴミを捨てて欲しくなくとも、直接捨てるなとはいわないことです。すでに述べましたとおり、皆さんにこんなに楽しい「釣り」を嫌いになって欲しくありませんから。
我々が最低限、ゴミを捨てなければいいだけの話です。もう一歩進むなら、ゴミを拾えばいいだけの話です。我々が彼らと同じようなレベルで生きなければいい。ゴミだけでなく、地域の方に会えば挨拶をしてみる。話しかけられれば、世間話もする。そうやって、直接的にも間接的にも水系を守って(延命して)いけばいいのです。釣りとは本来、地域的な遊びです。地域に溶け込んで釣っていれば、無体もできません。知り合いが歩いている遊歩道に車やゴミを捨てたり、地元の農家さんが使っているため池に釣り針やワームを残しては帰れないでしょう。地域の共有財産であれば、自然そうなるということです。
ゴミ問題や迷惑行為は「人様の物」だから起こるのです。ふつう、人様の物なら大切にするべきところで、なにやら矛盾しているようですが、不法投棄は誰も見ていない山中で行われたりしますよね。あれと同じです。自分の敷地に不法投棄する輩はいないんです。自分のものでなくても、普段自分が通る道、行く場所、地域共有の財産としての釣り場なら、下手なことはしにくくなりますし、そういう水系や自然を使わせてもらうことに、もっとコストを払うべきだと考えます。
たとえばイノシシやシカ猟は許可制です。銃火器を使うからということもありますけれども、釣りも、特に内水面の釣りは許可制、免許制にすべきかもしれません。もちろん、完全にそうしてしまうと免許のとれない子どもが遊べなくなってしまいますが、そのあたりは法制化、条例化のなかで上手く調節して(免許を持つ親の同伴や無免許でも釣ってもいい水系を設ける等)いけばいいのではないかと思います。少なくとも、いまのままではダメです。あらゆる水系が釣り禁止になり、禁止になっても釣りをする「犯罪者」が水系単位ではなく、自治体や国単位で釣り自体を禁止にしてしまいます。また、そこまでいかずとも、釣り禁止になったフィールドから釣りが可能なフィールドへ大移動が起こり、そこでもハイプレッシャーで釣れないうえに問題が発生し、あっという間に釣り禁止になるということが繰り返されて行くでしょう。もはや、待ったなしなのです。
私も聖人君子ではありませんから、目を輝かせてゴミを拾っているわけではありません。普段は「こんな細いラインを使うな馬鹿野郎」「なんで何十メートルもラインを捨てているんだ。釣りにならなくなるだろう」とブツクサいいながら拾っている。悪態をついても構いません。何なら偽善でも構わない。やらない善よりやる偽善。地域の人へアピールするかのようにゴミを拾ってもいいでしょう。ゴミがなくなるという事実は同じなんですから。