クランクベイト

モデルA(ボーマーモデルA 7A)キングオブクランク

ボーマーモデルA7A

世界一売れ、世界一釣れるキングオブクランク、モデル7A

私も長年愛用してまいりましたが、クランクの使い方がわかるようになるにつれ、徐々に使用頻度は下がりました。シャローはウェイクベイトのシャローAとシャ ローランナーのスクエアA、ミドルはファットA、ディープはファットフリーシャッドと使い分けられるようになり、私の釣りは飛躍的に伸びました。狙った魚 を狙ったように獲るという、およそ信じられないようなことができるようになったのです。一種の完成をみたといってもいいと思います。もちろん、改善の余地 はまだまだありますが。

結果として、すべてを万遍なくこなせるモデルAは半引退となってしまったわけです。しかし、それぞれの状況に特化したルアーは使いこなせないならまるで釣れない。一方で、あらゆる局面に対応できるモデルAは、常に一定の釣果を見込めます。ただし、特定の条件下での「ウイニングルアー」にはなりきれない存在です。あなたがもしクランクの釣りを十分に把握していないのであれば、このモデルAは最良のパートナーとなってくれるはずです。20年以上巻き続けている私がいうのですから、間違いありません。

かくいう私も何も考えず モデルAを巻いて1日に30〜40本と魚を釣るという経験があったからこそ、モデルAの不満点に気づき、それを解消し得るルアーを選び、クランキングを洗練することができたのです。モデルAはクランクの先生といっていいルアーです。(90年代ならいざ知らず、今の時代数十本のビッグゲームなんて宝くじ的確率かもしれませんが…)

どうもクランクは初級編を終えないままに中級、上級編をはじめる方が多いように思います。具体的には、いきなり3m以上潜るようなクランクを使わせる、ないしは使いだすといったようなことです。水中で何が起きているのか、どういうようなところに魚がいるのかがわからないまま、ただロングキャストをして巻いてくる間に、どこかで魚が釣れればいい。そんな釣りをしてしまう。それも、ディープ用で、特殊なアクションをつけることに重きを置いたルアーを使って。

いきなり上級編をやり、その中のごくごく一分野を修めただけで、クランクはこういうものだと思い込んでしまうんです。これではいけない。そんなことにならないためにも、ぜひ入門として、モデルAのシャローモデルからディープモデルまでを使い込んで欲 しいと思います。その中でルアーやタックルに不満が出れば、少しずつ改良していけばいいのです。

モデルA 7Aクローム

さて、お気づきの方もおられるかもしれませんが、このモデルA、どこかおかしいと思いませんか。

もったいぶるほどのことでもないので早速タネあかしをしてしまいますが、リップまで塗装がしてあるんですね。これはなにも、面倒だからリップごと塗料にドブ漬けしたわけではありません。ある狙いがあってこうなっているのです。

クランクはお尻を振るアクションの他に、ラインアイを軸にしてわずかに回転するローリングというアクションを起こします。ルアーの背や腹の色が違うことが多いのは、このローリングをした際に見える色を変えてやるためで、こうすることで魚からは何かが点滅しているように見えるわけです。

で、なぜリップまでそんなことをしているかといいますと、これはクランクを上から見ている魚に対してアピールするため。私の知る限り、こういう塗装はディープタイプのモデルAにしかなされていません。ディープクランクは底を叩いてこさせるためのものですから、当然魚はこのルアーを上から見ることになります。そこで、常に上を向いているリップにメッキ塗装をすることで太陽光を反射し、上方向の魚に鏡の要領でレーザービームを発射するわけです。

いかにディープとはいえ、ボトムから魚が湧いて出てくることはありえませんから、上方へのアピールを最大限考えたカラーセッティングなのです。ただ、悲しいかなこのカラー、クローム系としては「超」不人気でした。なぜって、ほとんどのユーザーが手抜きだと思ったから買わなかったんです。リップまでまとめて塗装するなんて、そんな手間もかけられないのか。これだからアメリカのルアーは!ってなもんです。日本のルアーはどれを見ても小魚そっくり。フィニッシュが美しくてナンボ。そこへきてコレは許されなかったんでしょうね。まったく違うところに意図があったのに、ルアービルダーは浮かばれませんよ。

というわけで、アメリカのルアーは本当によく考えられているとわかったわけですから、みなさんもルアーを手にした際、釣れそうかどうか、カッコいいかどうかだけでなく、そのビルダーの意図を想像するクセをつけましょう。そうすることで、そのルアーを最大限活かす方法が見えてくるかもしれません。

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