2016
06.11

「グズ病」が完全に治る本

☆☆, 四六版, 書評

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本書を読んでも、たちどころにグズは治らない。こういうタイトルの訳書は大抵アメリカなどの「ストーリー仕立て」な作品のタイトルを日本の実用書っぽく直して売るのが常道。本書もその一冊であるが、仕事や家事などがついつい後回しになるタイプ(事例)を網羅的に書いているという点では評価できる。

 

あなたのグズはどれかにきっと当てはまる

グズの特徴はこれだ!だからこうすれば治る!!というのが我々の求めているものだろうが、海外の実用書?というのはそういうことはほぼ書いていない。なぜか。読めないからだ。日本人ほど本が好きな人種はいないといっていい。江戸時代には町人の子女がパワースポットがどうのこうのといってガイドブック片手にあちこち歩いていたのはこの国くらいだ。本は特権階級のもの。知識人死すべしというのが世の為政者の考えなのだから、自由に本が読める時代を作ってくれた本フェチの家康公に感謝せねばならない。

 

ストーリー仕立てで見開きで1単元が終わる。海外の実用書にありがちな方式で、だからなんだよという感想ばかり浮かんでくるのが本に慣れきった日本人の率直な感想だろう。こういうタイプはグズ、その逆もグズなんて1単元ずつでっちあげストーリーを読まされた日には、箇条書きにしとけや!!と叫びたくもなる。なるのだが、こういった形式の方が読みやすいという方もおられるだろうからこれ以上強くはいわない。

 

本書ではグズのタイプを羅列し、そんなんじゃダメだと言い続ける内容で、7章までは大差ないし効果も薄いように思う。だからグズには読めない。グズを根性なしと批判しているわけではなく、役立つ内容を冒頭部に持ってこない編集者に怒っておるのである。グズじゃなくても時間は有限。すぐにやる人間でもダラダラと本を読んでいる時間などないし、そんなすぐやる族に見切られるような本は売れないから、グズの手にも渡らない。つまり、本の構成がグズグズじゃねえか!と。

 

ただ、8章の「会社の中の”グズ病”対策」と、9章の「休み中にやろうと思っていることがどうしてもできない人へ」は実用的だと思う。仕事においては全社をあげてグズにさせない方針を決め、それができない人間はグズかどうかに関わらず、厳しく対処するようにすれば、業務のマニュアル化や属人化防止に役立ちそうだし、当然先延ばしするグズを生かす余地をなくせる。9章の休み中に〜は身につまされる思いがする。特にこの時期、さて衣替えだとなったら、部屋中に散乱する衣類。強引に押し込んだだけのクローゼット。全部が酷い有様になれば、どこを見ても気分が悪くなる。心休まる場所がない。しかし、片付けようとは思えない。なぜか。もう手遅れであり、手の施しようがないと思ってしまうからだ。そうなるたびに私は『こんどこそ!片づける技術』という本で得た一ヶ所だけ完璧に片づける方法を駆使する。こうすることで、自分にとって心地いい場所が生まれる。そこがベースキャンプだ。そうすると、それ以外の散らかった場所が我慢ならなくなり、徐々にベースキャンプ周辺が綺麗になっていくというワケ。本書でも同様の「ここだけ片づけ」でグズを治そうという手法が取られている。世界各国人種を問わずに使える技のようだ。ぜひお試しあれ。

 

バカは死んでも治らないが、グズはなんとかなりそうだ。グズでお困りの方は、8、9章だけ読んで、そこをベースに気が向いたら7章なんかも読んでみるといいかもしれない。一気にどうにかしようと思わず、少しずつ治していこう。グズになったのも少しずつなってきたわけだから。

 

【備考】

本書はほとんどの書店で文庫版しか扱われていないようですので、内容が全く同じものを求められる方は四六判の古本等をお求めください。

 

 

 

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