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ビッグバスが引かない謎?!〜大きい魚が引くと思ったら大間違い〜

ビッグバスだから引きが強いなんて勘違いも甚だしいゾ!!

管理釣り場が人気ですよね。それはまあ、遊びとしての釣りのバリエーションですのでとやかくいうことではないのかもしれませんが、管理釣り場で釣った魚と自然の魚を比べあうってのは違うと思うわけです。

 

ある皿池には、養殖目的とゲームフィッシング用にニジマスが放されています。ここは管理釣り場ではなく、まだ寒い春先なんかにもよく釣れて、オーナーのご配慮で地元の人間が遊ばせてもらえるというところなんですけれども、ここで掛けたマスがあきらかに引かない。デカい池とはいえ人工湖。管理釣り場みたいなものだから運動もしないのかなと思っておりましたが、色々と調べているうちにわかったことがあるんです。養殖用の三倍体は引かないんです。というか、引けないんです。

 

三倍体は引かない、弱いといわれる理由

なぜ三倍体は引かないか。連中、水の中で息ができんのです。魚なのに意味がわからない? ザックリいうと、三倍体になると水中での呼吸がヘタクソになるんです。人間だと、デカすぎる体に見合わないショボい肺活量とでもいえばいいんでしょうか。その池は寒いときによく釣れるのではなく、暑いと酸素濃度が減って常に窒息の危機でバテバテ。ただでさえ息ができないのに、そんな過酷な環境でエサなんぞ取ってられないってだけなんです。

 

同じことが針に掛かっても起こります。三倍体の魚は空気に触れたときのダメージもデカい。エラで呼吸している魚にとって空気中は酸素ゼロみたいなものですから、ちょっと空気を吸うだけで酸欠になる。空気中に飛び出さなくても、常時酸欠気味なので運動すればもちろん即バテる。太り過ぎの人間みたいなもので、とても走ったりできる体力を持ち合わせていないんです。ですから、三倍体でメチャメチャ大きくなっても、引きは全然なってない。野生の魚のふた回りも小さい方が引くなんてことになりかねないんです。ですから、管理釣り場で釣ったかどうかだけでなく、それが三倍体かどうかで互いに語る土俵は変えねばなりません。

 

管理釣り場以外の三倍体

ところで管理釣り場以外の三倍体といえば……?琵琶……のバ……なんかがいるとされていますよね。公の場で語る人が出てきました。噂は根も葉もないものでもなかったということでしょうか。自然湖なのに三倍体がいるのでは、もうフェアな釣行にはなりません。私がB湖に行かない理由のひとつでもあります。あそこの60は、他の場所の50より価値がないやもしれませんので……。まあ、子どもを産めないはずですし、針にかかれば空気に触れてバテバテないしリリースされても死魚になる可能性大ですので、三倍体を離すのをやめてから15年もすればほぼ全滅するとは思いますけれども、それまでは人工的に生まれたモンスターバスが過去の記録をすべて打ち破っていくんじゃないでしょうか。

 

しかし、なんだかなぁと思うわけです。私なんかはここから派生して、「管理釣り場で三倍体掛けたってさあ……」なんてネガティブなことを思ってしまうんですね。個々人の価値観なんだからホットケって話でしょうけれども。琵琶湖でのバスゲームが好きな方、ごめんなさいね。私も琵琶湖自体は大好きなんですけどね。琵琶湖のバスを見ると、三倍体に限らず、命を持って生まれてきたのに、死ぬことを望まれているだなんてやるせなさばかりが押し寄せてきてどうしても気分が沈んでしまうので、足が向かないんです。

【参考文献】

三倍体ニジマスの酸素消費量と低酸素耐性 山本淳 飯田貴次
魚病研究 29(4) pp.245- 251 1994.12

ニジマス×イワナ三倍体雑種の酸素飢餓状態に対する耐性 渡辺祐介・網田健次郎
新潟県内水面水産試験場調査研究報告 No.32 (2008)