FishingWell

バス釣りで私がベイトリールを使う理由

ライトタックルかオーバースペックタックルか

釣ることを考えれば、別にベイトタックルでなくてもいいわけです。スピニングの方がトラブルも少なく便利です。パワースピンという選択肢は十分にありえます。ただ、スタイリッシュさを求めてベイトだという人もいるかもしれません。掲示板なんかでも「ベイトで釣りをしているのはカッコツケのバカ」なんて書かれ方をされがちです。もっとも私は見た目にこだわりはありませんから、こちらのスタイリッシュだからベイトという理由で選んでいるわけでもありません。ではなぜ私(または多くの釣り人)がトラブルが多くて不便なベイトリールで釣りをしているのか。いくつか理由を述べさせていただきます。

タックルは人となりを映す

ライトタックルでの釣りは小さい魚相手でも引きを楽しめます。一方、ベイトなどのオーバースペックタックルとなると一方勝ちして楽しめない。だから、ライトタックルという選択肢は当然理解できます。ただ、私はルアーゲームをやる際に「エサではなくルアーで工夫して掛ける」過程を重視していて、掛けたあとの攻防はさほど重視しません。ですから、あらゆる釣り場でパワータックルを使う、ストロングスタイルです。規定がなければ管理釣り場のトラウト相手でも12〜16ポンドラインでティップ以外ガチガチの竿でスプーンを投げます。周囲は2〜4ポンドクラスのラインを使っていてもです。

 

トラウト狙いでガチガチのロッドだと弾かれることが増えて難しいので事情が違ってくるとは思いますが、それでも私はパワータックルを使います。引きを楽しむという発想は、遊びであるからこそ生まれてくるものです。ルアー「ゲーム」ですから、先に述べましたとおり、それでもいいのです。楽しむための釣りはひとつの完成された世界です。一方で、まだ見ぬ大物を手にしたい、掛けた以上は絶対にその手に抱きたいと思うのもやはり釣りの世界だと思うわけです。私はどちらかといえばこちらの人間で、かつ掛けるための手段を選ぶ派です。手段を選ばず釣るのではなく、難しい釣りになったとしても理想の釣りを選んで、大物を釣りたいという立場ですので、魚に主導権を握られるライトタックルは極力使いません。これがバス釣りでベイトを使う理由の1つめです。

 

「魚に遊んでもらう」は人のエゴでしかない

十数年前、80cmもあるライギョをスコーピオンEVというシマノのスピニングのパックロッドで釣りました。4ピースのロッドでバス用のリール。かなりの長時間ファイトをしましたし、とても興奮したのですが、やはり魚に与える負担が大きすぎる。当時子どもの私ですらそう思ったわけで、釣って食べるわけでもないならもっと簡単にリリースしてあげた方がいい。そもそも釣り自体が残酷なゲームで(本当は遊びなら釣らないのが一番ですが)、魚に遊んでもらうという姿勢は人間側の都合でしかないわけです。魚にとっては遊びじゃないんですし、魚が勝つ展開はないんですから勝負にすらなってない。だったら、必要以上に弱らせるようなタックル選びはなしにしたい。シーバスでよく見かけますが、ライトなスピニングタックルを使って、強引に引き寄せられないから一度沖まで走らせる、というようなことも避けたいというのが私のスタンスです。

 

バス釣りでベイトリールを使うわけ

私はこのようなの理由から、相手にあわせたタックルを選びません。バスはとにかく引かない魚ですので、本来ベイトリールなんて不要です。でも、私はベイトを使います。相手任せにしてストラクチャーに絡めば命に関わりますし、体力がもともとない魚を走らせるのはファイト後のことを考えれば得策とは思えないためです。引かない魚に対してタックルがオーバースペックなのではなく、故意にオーバースペックにしておくことが私にとって大切なのです。

 

 

ここはバスゲーム中心の話題を扱うサイトではありますが、海でスズキやブリ、シイラといった魚を釣って食べることを考えても、できることならベイトを使いたいと思っております。理由は簡単で、比較的ストレスなく釣ったものと、死にかけるまで大暴れさせて釣ったのとでは味がやっぱり違うんです。これは時間が経てばより顕著になるように思います。相手は死に物狂いなわけですから、身体中のエネルギーを猛烈に消費しているのではないかと類推します。カツオなんて釣り上げると体の縞の方向が変わるくらいですからね。それはもうすさまじいエネルギー消費でしょう。せっかく食べるなら美味しい方がいいですし、食べないならなおのことイジメない方がいい。そんな考えで、私はベイトリールを使うことが多いというわけです。