フィッシングコラム

ストラクチャーとカバーの違い、勘違いについて

ストラクチャーとカバー

ストラクチャーとカバーについては大変な誤解が蔓延しております。これは日本人の英語力の問題というより、「アメリカの定義の問題」なので我々日本人に罪はないともいえるのですが、やはりストラクチャーとカバーを混同、誤認したまま放置していると、バスゲームは十分に理解できないものと思われます。

今回は日本人が勘違いしがちなストラクチャーとカバーについてご説明差し上げます。

ストラクチャーとカバーの違い

ストラクチャーを和訳しますと、構造物ということになります。日本人である我々は、母国語でないために辞書を片手にこういった言葉を理解していくわけですが、バスフィッシングのストラクチャーと辞書に載っているストラクチャーの意味がちょっと違うせい(バスゲームの世界だけのローカルな定義、スラング的なもの)で、ストラクチャーゲームを間違って理解してしまっているのです。

その間違いの代表的なものが、ストラクチャー=人工構造物という認識です。

ダムサイトや桟橋、水門などがストラクチャーだと考えていませんか? バスゲームにおけるストラクチャーとは、人工構造物を指すわけではありません。また、ストラクチャーとカバーを同じような意味だと解している誤解もよく耳にします。ここで改めて、ストラクチャーとカバーがどう違うのか、代表的な例を挙げておきますので、ご確認ください。

 

ストラクチャーの代表例と定義

  • かけあがり(ドロップオフ)
  • 岬、ワンド・水中島、馬の背(ハンプ)
  • 浚渫跡、河川跡(チャネル)
  • フラット

 

かけあがりはバスフィッシングをするうえで誰もが知っている一級スポットですよね。急激に落ち込むことから英語ではドロップオフと呼ばれます。日本人は上がってくると見て、イギリス・アメリカ人は落ちると見るんですね。文化的差異でしょうか。おもしろいですね。

脱線してしまったので話を戻しまして、次に岬ですが、岬があるということは、ほぼかけあがりがあるともいえまして、ここに水の流れが当たって変化することで魚を溜める傾向にあります。ここも一級スポットですよね。

最後のフラットは、自然発生したものもあれば、日本のリザーバーに多い段々畑跡や道路跡といった人工的なものもあります。バスゲームではディープフラットより、シャローフラットが一級スポットになりやすい傾向にあります。

こうして見てみますと、共通点が浮かんでまいります。そうです。ストラクチャーとは、地形の変化のことなのです。日本のバスフィッシングの入門書は、ほとんどの場合ここを誤解した人が書いていて、ストラクチャーは人工構造物としています。ストラクチャーを地形の変化と正しく定義付けしている人は少数です。

バスフィッシングのパターン化をするうえで、ストラクチャーとカバーを曖昧な線引きにしておくことは大きな損失となりえます。ストラクチャー=地形の変化。まずはこれを押さえておいてください。

 

カバーの代表例と定義

  • 水生植物
  • 立ち木、オーバーハング
  • 桟橋
  • 消波ブロック(テトラポッド)

 

カバーは大別して2種、ベジテーション(水生植物等)のソフトカバーと、立ち木や橋脚などのハードカバーがあります。そもそもカバーとは、何かを覆うものを意味します。ここまでは皆さんも理解されていることと思われます。

戦争映画などで出てくるセリフに「テイクカバー」というものがあります。これは「遮蔽物に身を隠せ」という意味で、敵からの放火を避けるシーンでよく耳にします。つまり、戦争映画でのカバーは遮蔽物ということになります。日本人がカバーに抱くイメージと僅かではありますが、ズレがあるわけです。

我々は、カバーというと覆いかぶさるというイメージがどうしても先行します。本のカバー、バイクのカバー、なんでもそうですが、カバーするというと、包み込む、覆いかぶさるイメージが強いですよね。でも、バスゲームの定義では必ずしも覆いかぶさってはいないのです。先述の戦争映画に出てくるカバー、この遮蔽物だって、覆いかぶさっているとは限りません。ただの崩れた壁や、撃破された車両だったります。この定義のズレが、我々日本人のあいだにストラクチャーとカバーの混同を生んでいるのです。

 

そのズレの代表例が、消波ブロック。これはカバーにあたります。規模によっては捨て石などもそうですし、桟橋や橋脚もカバーです。これらはストラクチャーではありません。では、カバーの共通点というのはどう定義できるか。簡単にいえば「視線を遮るもの/影になるもの」であるといえます。外敵の攻撃から身を守れるかどうかで判断してもいいでしょう。

ここでカバーをストラクチャーと対比して考えてみます。カバーは身を視線を遮ってくれる遮蔽物です。消波ブロックはカバーです。一方、ストラクチャーである「シャローフラットや駆け上がり」には身を隠す(寄せられる)要素がありませんよね。これでストラクチャーとカバーの線引きが明確になりました。

ただ、橋脚のように大型のストラクチャーはカバーの要素を持っていることもありますから、これがさらなる混乱を呼んでいるわけですけれども、まずは遮蔽物であるかどうかでカバーかどうかを確認するという理解でいいでしょう。

 

ストラクチャーは基本点、カバーは倍率

ストラクチャーもカバーもバスが集まる点では同じなのだから、どっちでもいいじゃん。そんな向きもありますが、私はわけて考えるべきだと断言いたします。明確な定義によって区分したのは、わけて考えたほうがいいからなのですが、どうしてそういえるのか。これは、ストラクチャー(地形)はカバー(遮蔽物)に比べて圧倒的に魚を集める力があるからです。ストラクチャーは一般的に規模が大きいこともあり、食い気のある魚が捕食に上がってくるポイント、もしくは捕食ポイントへ回遊していくときに必ず利用するルート、いわゆる魚道になることが多く、魚とのコンタクトが容易なのです。1つのカバーにはせいぜい1〜2尾しかバスがついていなくても、1つのストラクチャーとなると10尾、20尾ということはザラで、スイートスポットを見つければ、一日同じところに投げているだけで入れ替わり立ち替わり回遊してくるバスを釣ることができるのです。

 

しかし、ストラクチャーはかけあがりやシャローフラットといった大場所であるが故に、釣り人がポイントを絞り込むのが難しいという現実もあります。広大なエリアをすべて叩いていくしかないのかといえば、そんなことはありません。ストラクチャーに絡むカバーを狙うことで、効率的に魚を探していくことができるわけです。バスもまた大場所をその日の気分次第で泳ぐようなことはしません。ストラクチャーに絡むカバーに身を寄せては次の移動先を目指します。これが、ストラクチャーは基本点、カバーは倍率という考えに繋がっていくわけです。例えば、何もない砂漠のど真ん中にオアシスがあれば、皆がそこに集まりませんか? バスゲームであれば、広大なシャローフラットの中にひとつだけポツンと大きな岩が落ちている、といった状況です。当然、皆がそこに集まってくるわけです。巨大なストラクチャーは基本点が高いのですが、ただ延々とかけあがりが続いているだけではダメ。ストラクチャーに絡むカバーがあっても、のっぺりと続くウィードエリアなどでは倍率(魚を圧縮して引きつける力)が低くてダメ。つまり、基本点が高く、なおかつ倍率の高いカバーを狙うことが、最も効率的にグッドフィッシュを手にする方法なのです。

 

まとめと実践

さて、以上でストラクチャーとカバーの違いと、それによるゲームの理論はおわかりになられたことと存じます。しかし、実際の湖面に出ると、このあたりのことは吹っ飛んでしまったり、どれが倍率の高いカバーなのかがわからないということになりがちです。簡単な例ではありますが、立ち木エリアでレイダウン(倒木)があったとして、古いものと新しいものが並んでいた場合、皆さんはどちらから先に叩くでしょうか。私は断然「新しい方」です。木の中の虫や栄養を狙って、小魚などが集まりやすいからなんですね。こちらの方が倍率が高いカバーだと考えます。また、立ち木エリアにあるレイダウン(倒木)はそれだけで倍率が高いのですが、これは縦方向の変化が多い中に横方向の変化があるためなんですね。一方で切り倒された木が延々と沈んでいるレイダウンエリアや横方向への変化が多いところでは、縦方向のカバーの方が倍率はよくなります。

こういった僅かな変化を捉え、的確に狙っていくことがバスゲームの進歩と釣果をもたらします。投げるルアーで悩む前に、まずは狙うポイントに「うんと」悩んでみましょう。

 

シャローAは、私が初夏から晩秋までのシャローフラットゲームで最も多用するハードプラグです。ハードカバーのほか、ウィードエリアでも活躍する傑作ウェイクベイトです。水面にV字の航跡(引き波)を立てることが釣果に結びついているように感じております。トボケたコイ科の小魚が、水面をふらふらしている状況を演出するイメージでご使用ください。

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コメント

    • ねこかん
    • 2017年 9月 16日

    まさに目からウロコ!

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