フィッシングコラム

釣り竿(ロッド)のコルクグリップの補修について

昔に比べてとにかくコルクはよくなりました。もっとも、コルクグリップを使っているのは超高級竿か安物竿の二択になっており、前者は節や痩せの少ない部分を使用していてコルクグリップの品質が極めて高いため、あまり補修の心配はないのかもしれません。しかし、ときには昔を懐かしんでオールドタックルで釣りをという方もおられるでしょうし、最近の高級品でも岩に叩き付けてしまった、フックが貫通したなどのトラブルでコルクが欠けたという方もおられると思います。そこで今回はDIYでコルクグリップを補修してしまおうというお話です。

「無節の無垢材」といえば、住宅業界ではウン億円の大豪邸を建てる人用の材料(柱などに使う)。木目が美しく、節や欠け、反り、痩せのないものなんて、そうそう出てこないんですね。で、柱1本数十万〜数百万なんてこともあるんです。コルクも元は木なわけで、そんな完璧なものは例え高級竿でもそうそう使えません。つまり、どういうことかといいますと、高級竿だってよくよく見れば「コルクを補修している」ということなんですね。ご存知でしたか?

そんな高級竿の補修に使われているのが、コルクパテです。コルクパテは文字通り、パテという補修材にコルクを混ぜ込んであるものでして、これを痩せて隙間だらけになっている部分や、欠けてしまった箇所に塗りこんで、800番くらいのサンドペーパーで凹凸を慣らしてやれば補修完了。長年使い込んで真っ黒になってしまったコルクグリップなどをあらかじめサンドペーパーで表面を削り、空いた部分にコルクパテで補修していけば、一見して新品同様の見た目になります。

コルクパテなんてねえよ!という方は、セメダインなどを使う手もあります。工芸やプラモデルなどで使い慣れた方なら、セメダインハイスーパークリア3のような3分で硬化がはじまる補修材を使い、不慣れな方、私のように不器用だと自認されている方はハイスーパー30のような長い時間をかけて硬化する製品をお使いいただければと思います。これらの使い方は、まずコルクをサンドペーパーで粉末状にし、硬化剤を入れる前のセメダイン(主剤)に混ぜ込みます。このときのポイントは、とにかくコルクを細かくし、たっぷりと入れてやること。次に硬化剤を入れてよく練り、補修部位にへらなどで塗り、硬化を待ってコルクパテ同様サンドペーパーで磨けば完成です。

なんだよ、コルクパテの方が一手間少なくて楽じゃん!という方もおられるでしょうが、コルクパテは水溶性の製品が多いため、数年単位で使用すると不安がある(釣行初日に溶けてなくなるということはないようです)こと、セメダインはグリップから欠け落ちたコルクを再利用することで、違和感のない色味を再現できることなどの利点があります。古くなり、黒ずんだグリップのがいいんだ!というオールドマニアにとってはこちらの方がいい場合もあると思います。一長一短ですね。

以上がコルクの修復についてです。コルクは軽く、感度の良い素材として長年愛され、その風合いからEVAなどとは一線を画した存在です。使い込めば古ぼけてしまいますが、その質感もまた愛せるものとなります。私がはじめて58cmという50後半のバスを釣ったのもコルクグリップのスコーピオン。多くの魚を掛け過ぎて、当時の張りは失われてしまいましたが、今でもその竿を大切に使っております。皆さんもいつの日か自分の歴史が見える道具を持つことによろこびを感じる日がくるはずです。そんな日がくるまで、今のロッドを大切に使ってあげてください。

 蛇足ですが、カーボンロッドの張りが減ることは原則としてまずありません。当時の張りが失われたというのは、今のロッドが極めて進化し、金属の棒のような張りを持っていることに対しての発言です。昔のスコーピオンは、それはそれは当時騒がれたんですよ。「なんだこのピンピンの竿は!」って。

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